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茅葺屋根

by 川上 幸生

茅葺屋根の古民家はまるで昔話に出てくるような日本の原風景です。江戸時代身分制度により住宅に使う材料も区別されていました。防火性に優れた瓦屋根は武士か、住宅が密集した町中の商家(町屋)にのみ許された材料で、農家は茅葺きか藁葺きの屋根にしなければなりませんでした。しかし茅葺は世界最古の屋根葺き材であり、日本でも竪穴式住居の時代から使われてきた伝統ある屋根葺き材です。

現在は葺き替えに使う茅を生産する茅場の減少と、都心部の防火の観点から建築基準法で定められる防火地域や準防火地域、建築基準法第22条に定められた規定により指定された地域の屋根は不燃材で葺かなければならず、茅葺は姿を消そうとしています。

しかし、茅葺は循環型の建築であり、再活用可能な資材です。後世に受け継いでいくことは我々の使命であり、茅葺きを活かすことが地域の活性化にも繋がります。

屋根は日射や降雨を受け過酷な条件にさらされる。夏場の屋根材の表面温度は 70度にもなります。ヨーロッパと日本の緯度を比べると、ヨーロッパは北緯50 度前後に対し、日本は 35 度前後で両者を比較すると日本の方が南に位置する。北 緯 35 度前後を南緯に変えると、砂漠の広がるアフリカ大陸の北部にあたる。 このことからいかに日本の日差しが強いかが想像できるかと思います。また雨も多く日本の平均降雨量は 1,800mm 程度で多いところは 4,000mm にも及びます。

日差しが強く雨が多い気候 風土の中で発達した日本の屋根は、大量の雨水を早く処理するための勾配がつき、軒先が深い特徴があります。深い軒先は直射日光が室内に差し込むのを夏場は防ぎ、太陽高度の下がる冬場は室内奥深くまで日差しを入れます。また、軒が深く出ることで外壁や建具などを雨から保護してくれます。

古民家の特徴をおさらいすると、

・軒の出は太陽高度の高い夏場は光を遮断、冬場は室内に光を招き入れる

・茅葺や藁葺の屋根はしみ込んだ雨を蒸発させて熱を逃がす

・白い漆喰の外壁は光を反射し室内の温度上昇を防ぐ

・畳や土壁は調湿作用が高く、不快な湿度を下げる

・家の回りに池や植栽を配置して冷えた空気を室内に取りこむ

つまり、夏を快適に過ごす住宅=伝統的な古民家ということになります。

*写真は宮崎県古民家再生協会の坂口代表からいただいた写真を掲載させていただいています。

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