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古民家という言葉

by 川上 幸生

「古民家」という言葉は建築基準法には記載は無く、日本建築史や民俗学にその定義が見られます。民家(みんか)とは一般庶民が住まう建物を指し、支配階級の住まいと対比して用いられ、民屋(みんおく)と呼ばれることもあります。民家は伝統的な様式で造られた農家や漁家(ぎょか)、商家(しょうか)や町家(まちや)の類です。それに中級から下級武士の侍屋敷(さむらいやしき)を含み、特に年代の古いものを「古民家」と言います。

築年数での区別は民俗学には無いのですが、古民家解體新書Ⅱでは古民家の定義を国の「登録有形文化財制度」に合わせ「建築後50年を経過した木造家屋」としています。

建築基準法制定前に多く建築された一般的に「伝統構法」と呼ばれる骨組みに木材を使用した木造軸組構法の住宅と、建築基準法制定後に建築された一般的に「在来工法」と呼ばれる住宅を古民家と定義しています。寺社仏閣や校倉造り(あぜくらづくり)、輸入住宅などは木造住宅でも古民家には含みません。

「登録有形文化財制度」は、平成8年(1996年)に改正された「文化財保護法」に基づき、文化財登録原簿に登録された有形文化財の事を指しています。

元来の文化財指定制度は戦後の急激な高度経済成長による都市化で明治以降の近代の多種多様な建造物がその価値を評価されず解体されていくことを危惧(きぐ)し、昭和40年代頃から近代の建造物が国の重要文化財や地方公共団体の文化財に指定する事例が増え、国レベルでの重要なもののみを厳選する重要文化財指定制度では不十分で、より緩やかな規制の下で幅広く保護していく必要性が議論され、重要文化財の指定制度を補う制度として登録有形文化財が創設されたのです。

松山にある登録有形文化財、松山地方気象台と、三津の鯛やさん


伝統構法の古民家は特に建築当時の生活が色濃く残されており、伝統的な地域の文化に結び付いた間取りや造りで地域差が大きく、それが古民家を学ぶ楽しさでもあります。長年住まい続けている古民家は幾度(いくど)か改装されており、長い歴史の中で姿を変えてきたのもある意味味わいになっております。


川上 幸生
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